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ブータン染織調査の旅

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昨年九月の末から約二週間、沖縄民藝協会は染織調査を目的にヒマラヤ山脈東端の小さな大国ブータンを訪ねた。
百年続いた絶対的君主制から、議会民主制に劇的に変貌を成し遂げた同国。

GNP(国内総生産)ではなく、GNH(国民総幸福量)を提唱し、「環境や文化を守り、持続可 能な経済発展を思考する独自の国造り」を実践している。北はチベット自治区、南はインドに挟まれている同国、面積は九州より少し大きいくらい、沖縄とほぼ同じ緯度にある。人口は沖縄の役半分の66万余人。最近まで鎖国に近い政策をと つたこともあり、他の国で失われつつある自然を守り、自給自足に基盤を置いた伝統的な生活がよく残っている。また手織り物をはじめ、豊富な手工芸品が今日の伝わっている。沖縄からブータンまでの直行便は無い。バンコクで一泊、翌日早朝ブータン国営ドゥルック・エアー機で、インドのコルコタ経由でブータン国に入る。唯一空港のある町パロにいると谷間に広がる、刈り入れ前の美しい稲田が迎えてくれた。ブータンは気候、植生が日本とよく似ている。これは、モンスーン気候に代表される照葉樹林地帯(ヒマラヤ山麓~雲南~台湾~琉球列島~本土)に属しているためだと言われている。一帯では類似の文化的特徴を見いだす事ができる。

現地で出会った印象的な光景に、子供を帯で背負う姿や、泡盛に似た蒸留酒「アラ」がある。 野菜(ゴーヤー、なーべーらー、ニンジン、トウガラシ)などもおきなわの食物に類似し、野菜市場(サブジ・バザール)を歩くと、まるで、那覇の牧志公設市場にいる錯覚に陥る。男性も女性も着物に似た服装が正装である。男性は「ゴ」、女性は「キラ」と呼ばれている、民俗衣装をまとい、日本人、いや沖縄人そっくりの顔をした人々の笑顔が忘れられない。

(赤嶺和雄 沖縄民藝協会副会長・建築家)沖縄タイムスより転載

bu-tannmaturi-kodomo-2ツェチュ 祭りに行く男性の正装「ゴ」を着た子供達 ワンデュ・ポタン

butannmaturi女性の正装「キラ」で着飾る少女たち ツェチュ 祭り ワンデュ・ポタン

buutannitiba-1野菜市場にはゴーヤー、ナベラー、トウガラシなどが並ぶ パロ

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